この記事ではコンピュータグラフィックスとフォントについてIT初心者にも分かりやすく解説します。
コンピュータグラフィックス
- コンピュータグラフィックスとはコンピュータを使って描かれた画像。CGと略す。
- 3DCGは立体感のあるCG。
- 立体空間を画像ファイルに変換する技術をレンダリングと呼ぶ。
レンダリング
- レイトレーシング法はレンダリングの一つで、視線から光源まで光をさかのぼり、光がモノにぶつかった場所を交点とする。交点が複数ある場合は視線から最も近い交点を抽出し、光源とモノの性質から色を決める技法。
- ラジオシティ法はレンダリングの一つで、拡散反射した光を考慮してモノの表現する技法。
フォント
- フォントとは、文字をパソコンの画面に表示したり、紙に印刷する時に指定する書体。
- ビットマップフォントとは、白と黒で塗りつぶしたピクセルで文字を表現するフォント。
- アウトラインフォントとは、文字の輪郭を曲線データとして持ち、輪郭の中を塗りつぶすことで文字を表現するフォント。
応用情報ではコンピュータグラフィックスとフォントに関する問題が出ます。是非最後までご覧ください。
コンピュータグラフィックス(CG)
コンピュータグラフィックスとは、コンピュータを使って描かれた画像のことで、CGと略されることもあります。3DCGは、コンピュータを使って立体感のある画像を作る技術のことです。
3DCGでは、仮想的な空間の中に物体を配置した後、その立体空間を画像ファイルに変換します。立体空間を画像ファイルに変換することをレンダリングと呼びます。
レンダリングは写真を撮ることと似ていますね。写真は現実に存在している立体物を2次元の写真に変換しています。レンダリングは仮想空間に作った立体物を画像ファイルに変換しています。パソコンやテレビのディスプレイは2次元ですから、2次元のファイルに変換している訳ですね。
レンダリングには色々手法がありますが、応用情報で出題されるレイトレーシング法と
ラジオシティ法について解説します。
レイトレーシング法
太陽や電球等の光源から発せられた光は、モノに反射して目に入ってきます。この反射した光が目に入ってくることで、私たちはモノを認識出来ます。
光源から出て来た光の性質(色や強さ)、モノの性質(表面の質感や色)によって、最終的に私たちの目に入ってくる光の特徴が決まります。
レイトレーシング法では、視点から光を逆から辿り、どういう感じでモノが見えるか計算します。レイ=光、トレーシング=追跡という意味です。
デジタル画像を物凄く拡大すると、小さな四角形の集まりであることが分かります。
この1つ1つの四角形をピクセル(画素)と言います。例えば、「横300px、縦200pxの画像」とあれば、横に300個、縦に200個のピクセルが並んでいる画像であると分かります。
レイトレーシング法では、全てのピクセルから光源まで光をさかのぼります。
光をさかのぼった時、モノにぶつかる場所を交点と呼びます。交点は複数存在する場合がありますが、視点から最も近い交点のモノが実際に見えるモノとなります。この交点について、光源の性質やモノの性質からピクセルで表現する色を決定します。これがレイトレーシング法です。
光源までさかのぼるとき、椅子のような光を反射も屈折もしないモノにぶつかり、光源までたどり着けないピクセルも存在します。その部分はモノの影として表現されます。
また、モノにぶつからない場合もありますね。その場合は背景色として表現されます。
ラジオシティ法
光の反射には鏡面反射と拡散反射があります。
鏡面反射は鏡の反射です。一方向に凄く反射します。
拡散反射は椅子や机といった光沢のない荒い表面で起こる反射です。拡散反射は四方八方に光が反射します。拡散反射した光を間接光と呼びます。
現実世界では光源の光が物体に遮られると影が出来ますが、影は真っ黒ではありません。
これは、周りにあるモノに反射した間接光が影に当たっているからです。
つまり、現実世界のような風景をCGで作るには、光源からの光だけではなく、間接光の影響を考えないといけないんですね。
ラジオシティ法は、拡散反射した光の影響も考慮して、モノの描写を表現する技法です。
ラジオシティ法では、光源から光を追跡して、それぞれのモノの色を計算します。
フォント
フォントとは、文字をパソコンの画面に表示したり、紙に印刷する時に指定する書体のことです。応用情報では、フォントの表現方法であるビットマップフォントとアウトラインフォントが出題されます。
ビットマップフォントは白と黒で塗りつぶしたピクセルで文字を表現するフォントです。
アウトラインフォントは文字の輪郭を曲線データとして持ち、輪郭の中を塗りつぶすことで文字を表現するフォントです。
ビットマップフォントは拡大すると、ピクセルの角が目立ち、ギザギザに見えてきますが、
アウトラインフォントは曲線データとして持つので、拡大しても綺麗な文字を保ちます。
その一方で、難しい漢字のような複雑な文字の場合、文字の輪郭を正確に表現するのが難しいく、アウトラインフォントが適さないものもあるようです。
また、アウトラインフォントは表示の度に輪郭を計算しているため、ビットマップフォントよりも表示に時間が掛かります。
応用情報技術者試験での出題例
令和6年度春期問24、令和3年度秋期問24
応用情報技術者
午前試験 令和6年度春期問24、令和3年度秋期問24
ビットマップフォントよりも,アウトラインフォントの利用が適している場合はどれか。
ア 英数字だけでなく,漢字も表示する。
イ 各文字の幅を一定にして表示する。
ウ 画面上にできるだけ高速に表示する。
エ 文字を任意の倍率に拡大して表示する。
正解は”エ”
ア アウトラインフォントは複雑な形をした漢字の表現が苦手です。
イ ビットマップフォント、アウトラインフォントの両方で文字の幅は一定に出来ます。
ウ ビットマップフォントの方が高速で表示出来ます。
エ 文字を拡大しても綺麗に表示できるのはアウトラインフォントです。
令和5年度秋期問25
応用情報技術者
午前試験 令和5年度秋期問25
バーチャルリアリティに関する記述のうち,レンダリングの説明はどれか。
ア ウェアラブルカメラ,慣性センサーなどを用いて非言語情報を認識する処理
イ 仮想世界の情報をディスプレイに描画可能な形式の画像に変換する技術
ウ 視覚的に現実世界と仮想世界を融合させるために,それぞれの世界の中に定義された3次元座標を一致させる処理
エ 時間経過とともに生じる物の移動などの変化について,モデル化したものを物理法則などに当てはめて変化させる処理
正解は”イ”
仮想世界を画像形式に変換することをレンダリングと呼びます。
令和5年度春期問25、令和3年度秋期問25
応用情報技術者
午前試験 令和5年度春期問25、令和3年度秋期問25
コンピュータグラフィックスに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア テクスチャマッピングは,全てのピクセルについて,視線と全ての物体との交点を計算し,その中から視点に最も近い交点を選択することによって,陰面消去を行う。
イ メタボールは,反射・透過方向への視線追跡を行わず,与えられた空間中のデータから輝度を計算する。
ウ ラジオシティ法は,拡散反射面間の相互反射による効果を考慮して拡散反射面の輝度を決める。
エ レイトレーシングは,形状が定義された物体の表面に,別に定義された模様を張り付けて画像を作成する。
正解は”ウ”
ラジオシティ法では拡散反射した光の効果を考慮してモノの表現を決めます。
令和4年度春期問25
応用情報技術者
午前試験 令和4年度春期問25
レイトレーシング法の説明として,適切なものはどれか。
ア スクリーンの全ての画素について,視線と描画の対象となる物体との交点を反射属性や透明属性などを含めて計算し,その中から視点に最も近い交点を選択する。
イ スクリーンの走査線ごとに視点とその走査線を結ぶ走査面を作成し,各走査面と描画の対象となる物体との交点を調べて交差線分を求め,奥行き判定を行うことによって描画する。
ウ 描画の対象となる二つの物体のうち,一方が近くに,もう一方が遠くにあるときに,まず遠くの物体を描いてから近くの物体を重ね書きする。
エ 描画の対象となる物体の各面をピクセルに分割し,ピクセルごとに視点までの距離を計算し,その最小値を作業領域に保持することによって,視点までの距離が最小となる面を求める。
正解は”ア”
レイトレーシング法では、視線から光を逆に辿っていき物体と光の交点を求めます。
交点が複数ある場合は、目に見えている、最も近い交点を抽出します。
そして、その交点について、光源やモノの性質から色を決めます。