この記事では論理演算と論理回路についてIT初心者にも分かりやすく解説します。
論理演算と論理回路
- 論理演算とは1と0だけで行う演算で、コンピュータは論理演算で様々な処理をする。
- 論理演算の基本形には論理積・論理和・排他的論理和・否定がある。
論理積:入力値の全てが「1」なら「1」を出力。それ以外は「0」を出力。
論理和:入力値の内1つでも「1」なら「1」を出力。
それ以外は「0」を出力。
排他的論理和:入力値に「0」と「1」があれば「1」を出力。
それ以外は「0」を出力。
否定:入力値が「1」なら「0」を出力。入力値が「0」なら「1」を出力。 - 論理積・論理和と否定を組み合わせた否定論理積・否定論理和がある。
応用情報では論理演算と論理回路に関する問題が頻出します。是非最後までご覧ください。
論理演算と論理回路
コンピュータは電気信号のオンとオフだけで情報を処理・表現します。
電気信号がオンの場合は1、オフの場合は0として処理します。
論理演算とは1と0だけで行う演算方法で、コンピュータはこの論理演算を使って様々な処理をしています。そして、論理演算を行うために使う回路を論理回路と言います。
論理回路は回路に入ってきた電気信号に従って、電気を流すかどうか決定する回路です。
論理演算の基本形は論理積・論理和・排他的論理和・否定です。
論理積
論理積とは、AとBの両方に電気が流れているときだけ、電気を流す回路です。
電気が流れている状態を1、電気が流れていない状態を0とすると、次の表のような結果になります。
論理和
論理和とは、AかBの少なくとも一方に電気が流れていれば、電気を流す回路です。
排他的論理和
排他的論理和とは、AかBのどちらかだけに電気が流れていれば、電気を流す回路です。
否定
否定とは、電気が流れてきたら電気を流さず、電気が流れてなければ電気を流す回路です。
他の回路と否定を組み合わせる
他の回路と否定を組み合わせることがあります。この場合、元の回路と真逆の結果になります。例えば、論理積と否定を組み合わせた否定論理積は論理積と真逆の結果になります。
論理演算を使った計算の例
2進数の1桁+1桁の計算を論理回路でやってみましょう。
2進数の1桁+1桁の計算は次の4パターンしかありません。
(1) 0+0=00
(2) 0+1=01
(3) 1+0=01
(4) 1+1=10
これを表にすると、こうなります。
よく見てみると、答えの1桁目は排他的論理和で、2桁目は論理積になっていますね。
なので、1桁+1桁の足し算をしたければ、次のような回路を組めば良いと分かります。
応用情報技術者試験での出題例
それぞれの論理回路の説明は次を参照してください。
令和6年度秋期問21
応用情報技術者
午前試験 令和6年度秋期問21
図はスイッチA及びBの状態によって,LEDが点灯又は消灯する回路である。スイッチAがオンの状態をA=1,オフの状態をA=0とし,スイッチBも同様にオンの状態をB=1,オフの状態をB=0とする。また,LEDが点灯する状態をY=1,消灯する状態をY=0とする。このとき,図の回路を動作させたときのタイミングチャートとして,適切なものはどれか。
正解は”ウ”
この回路はAとBの両方をオンにしたとき、電気が流れ、LEDが点灯します。
よって、答えはウです。
令和6年度春期問21
応用情報技術者
午前試験 令和6年度春期問21
入力がAとB,出力がYの論理回路を動作させたとき,図のタイムチャートが得られた。この論理回路として,適切なものはどれか。
正解は”ウ”
整理してみましょう。
これは否定論理積ですね。よって、答えはウです。
令和5年度秋期問22
応用情報技術者
午前試験 令和5年度秋期問22
図の論理回路において,S=1,R=1,X=0,Y=1のとき,Sを一旦0にした後,再び1に戻した。この操作を行った後のX,Yの値はどれか。
ア X=0,Y=0 イ X=0,Y=1 ウ X=1,Y=0 エ X=1,Y=1
正解は”ウ”
初期値のS=1,R=1,X=0,Y=1は、この状態です。
ここから、S=0にすると、こうなります。
ここからさらにS=1に戻してみましょう。
Sの方の論理積が変わらないので、XとYの出力も変わりません。
よって、答えはX=1、Y=0のウです。
令和5年度秋期問23
応用情報技術者
午前試験 令和5年度秋期問23
真理値表に示す3入力多数決回路はどれか。
正解は”ア”
A=0,B=0,C=1を入力したとき、出力されるYはそれぞれ以下になります。
よって答えはアです。
ちなみに、他の組み合わせでは下の表のようになります。
令和5年度春期問21
応用情報技術者
午前試験 令和5年度春期問21
NAND素子を用いた次の組合せ回路の出力Zを表す式はどれか。ここで,論理式中の”・”は論理積,”+”は論理和,”X”はXの否定を表す。
ア X・Y イ X+Y ウ X・Y エ X+Y
正解は”イ”
XとYの入力、Zの出力の関係は次のようになります。
XとYの少なくともどちらかが1の場合、1を出力しているので、論理和と同じです。
よって、答えはX+Yであるイです。
令和4年度秋期問23
応用情報技術者
午前試験 令和4年度秋期問23
入力XとYの値が同じときにだけ,出力Zに1を出力する回路はどれか。
正解は”ウ”
X=0、Y=0のとき
X=0、Y=1のとき
X=1、Y=0のとき
X=1、Y=1のとき
よって、答えはウですね。
令和3年度秋期問22
応用情報技術者
午前試験 令和3年度秋期問22
1桁の2進数A,Bを加算し,Xに桁上がり,Yに桁上げなしの和(和の1桁目)が得られる論理回路はどれか。
正解は”ア”
1桁の2進数A,Bを加算したときのXとYは次のようになります。
Xは論理積、Yは排他的論理和になっていますね。
よって、答えはアです。