この記事では応用情報で出題されるスケールアウトとスケールインについてIT初心者にも分かりやすく解説します。
スケールアウトとスケールアップ
- スケールアウトはサーバの台数を増やすことでシステム全体の処理能力を上げる方法
- スケールアップはサーバのスペックを上げることでシステム全体の処理能力を上げる方法
- サーバ間の整合性や処理順序が重要なシステムの場合はスケールアップが適する
スケールインとスケールダウン
- スケールインはサーバの台数を減らすことでシステム全体の処理能力を下げる方法
- スケールダウンはサーバのスペックを下げることでシステム全体の処理能力を下げる方法
応用情報ではスケールアウトとスケールインに関する問題が頻出します。是非最後までご覧ください。
スケールアウト/スケールアップ
サーバの処理能力以上にアクセスがある場合、サーバの処理能力を向上させる必要がありますが、処理能力を上げる方法は2つあります。スケールアウトとスケールアップです。
スケールアウトとスケールアップのどちらが適しているかはシステムによります。
スケールアウト
ECサイトの商品検索のような更新処理が発生しない処理の場合、サーバ間の整合性や処理順序を意識する必要がないため、単純にサーバの台数を増やすだけで良いスケールアウトが適しています。
また、スケールアウトの場合、1台のサーバがダウンしても他のサーバで処理を継続できるため、安定して稼働することが出来ます。
スケールアップ
データを更新する処理が多く、サーバ間の整合性や処理順序が重要な処理の場合、スケールアウトでは整合性を保つのが大変なので、1台のサーバのスペックを上げるスケールアップの方が適しています。
スケールイン/スケールダウン
サーバの処理能力が、実際に使われている能力に比べて過剰であれば、不要なコストが発生しているため、サーバの処理能力を下げにいきます。処理能力を下げる方法も2つあります。スケールインとスケールダウンです。
応用情報技術者試験での出題例
令和5年度秋期問13
応用情報技術者
午前試験 令和5年度秋期問13
システムの性能を向上させるための方法として,スケールアウトが適しているシステムはどれか。
ア 一連の大きな処理を一括して実行しなければならないので,並列処理が困難な処理が中心のシステム
イ 参照系のトランザクションが多いので,複数のサーバで分散処理を行っているシステム
ウ データを追加するトランザクションが多いので,データの整合性を取るためのオーバーヘッドを小さくしなければならないシステム
エ 同一のマスターデータベースがシステム内に複数配置されているので,マスターを更新する際にはデータベース間で整合性を保持しなければならないシステム
正解は”イ”
スケールアウトが適しているのは、サーバ間の整合性や処理順序を意識しなくて良い場合です。よって、イが正解です。
令和5年度春期問13
応用情報技術者
午前試験 令和5年度春期問13
スケールインの説明として,適切なものはどれか。
ア 想定されるCPU使用率に対して,サーバの能力が過剰なとき,CPUの能力を減らすこと
イ 想定されるシステムの処理量に対して,サーバの台数が過剰なとき,サーバの台数を減らすこと
ウ 想定されるシステムの処理量に対して,サーバの台数が不足するとき,サーバの台数を増やすこと
エ 想定されるメモリ使用率に対して,サーバの能力が不足するとき,メモリの容量を増やすこと
正解は”イ”
スケールインとは、サーバの台数が過剰な時にサーバの台数を減らすことです。
令和3年度秋期問12
応用情報技術者
午前試験 令和3年度秋期問12
システムが使用する物理サーバの処理能力を,負荷状況に応じて調整する方法としてのスケールインの説明はどれか。
ア システムを構成する物理サーバの台数を増やすことによって,システムとしての処理能力を向上する。
イ システムを構成する物理サーバの台数を減らすことによって,システムとしてのリソースを最適化し,無駄なコストを削減する。
ウ 高い処理能力のCPUへの交換やメモリの追加などによって,システムとしての処理能力を向上する。
エ 低い処理能力のCPUへの交換やメモリの削減などによって,システムとしてのリソースを最適化し,無駄なコストを削減する。
正解は”イ”
スケールインとは、サーバの台数が過剰な時にサーバの台数を減らすことです。