テクノロジ編

【応用情報】半導体とダイオードについて初心者向けに解説

この記事では応用情報で出題されるダイオードについてIT初心者にも分かりやすく解説します。

半導体

  • 半導体はある条件の時だけ電流を流す物質
  • 半導体にはp型半導体とn型半導体があり、p型半導体はプラスの電気を持ち、n型半導体はマイナスの電気を持つ

ダイオード

  • ダイオードはある方向にだけ電流を流す性質を持つ半導体素子
  • この性質を整流作用と呼ぶ

応用情報ではダイオードに関する問題が出題されます。是非最後までご覧ください。

半導体とは

物質には、金属のように電気を通す「導体」とゴムのように電気を通さない「絶縁体」と、条件によっては電気を通す「半導体」があります

では、半導体はどうなると電気を通すようになるのでしょうか
半導体の構造と一緒に確認してみましょう。

半導体の大部分はシリコン(Si)と呼ばれる原子で出来ています。
原子は真ん中に原子核を持ち、その周りを電子が回る構造をしています。ちなみに、電子はマイナスの電気を帯びています。

シリコンの原子核の周りには14個の原子が回っており、一番外側の軌道(これを最外殻と呼びます)には4個の原子が回っています。最外殻には8個の原子を入れることができ、8個の時が最も安定した構造となります。

なので、シリコンの結晶はお互いの電子を共有することで安定した構造を取っています。

このシリコンの結晶に熱を与えると電子がポロっと取れて、結晶内を自由に動き回るようになります。この電子を自由電子と呼びます。また、元々マイナスの電子がいた場所には穴が出来ますが、これをプラスの穴と見立てて正孔と言います。マイナスが居なくなったからプラスになった、みたいなことですね。

正孔は隣の電子を奪い、新たに奪われた場所に正孔が出来ます。このようにして、正孔も自由に動き回れます。

つまり、温度を凄く上げると、シリコン同士を結合していた電子が自由電子になり、この自由電子が電気を運ぶことで、電気が流れるようになります。これが半導体の基本の仕組みです。

p型半導体とn型半導体

半導体ではマイナスの電気を帯びた自由電子とプラスの電気を帯びた正孔が自由に動き回ることで電気が流れるようになりました。この自由電子と正孔は、シリコンの温度を上げることで発生しましたが、それらを最初から準備したものがp型半導体n型半導体です。

p型半導体

p型半導体とはシリコン結晶にホウ素(B)原子を少し混ぜたものです。
ホウ素原子はシリコン原子より電子が1つだけ少ないです。

なので、シリコン原子の結晶にホウ素原子を混ぜると、最初から正孔が存在する状態になります

n型半導体

n型半導体とはシリコン結晶にリン(P)原子を少し混ぜたものです。
リン原子はシリコン原子より電子を1つだけ多く持ちます

なので、シリコン原子の結晶にリン原子を混ぜると、最初から自由電子が存在する状態になります

ダイオード

ダイオードはp型半導体とn型半導体を接合した半導体素子で、ある方向には電流を流すが、他方向には電流を流さないという性質を持ちます。この性質のことを整流作用と呼びます。素子とは電気回路の構成要素のことです。ちなみに、接合とはつなぎ合わせることで、p型半導体とn型半導体が接している場所をpn接合と呼びます。p型はプラスの電気を持つ正孔を多く持ち、n型はマイナスの電気を持つ自由電子を多く持ちましたね。

このダイオードに対して、p型側がプラスに、n型側がマイナスになるように電圧をかけると、p型の正孔がn型に移動し、n型の自由電子がp型に移動します。この結果、p型からn型に向けて電流が流れていきます。

逆に、p型側がマイナスに、n型側がプラスになるように電圧をかけると、p型の正孔もn型の自由電子も逆方向に移動し、電流が流れなくなります。このように、ダイオードは一方向にだけ電流を流す、整流作用を持ちます

ダイオードは電気回路上、下図のように表されます。

応用情報技術者試験での出題例

令和5年度春期問22

応用情報技術者
午前試験 
令和5年度春期問22

図1の電圧波形の信号を,図2の回路に入力したときの出力電圧の波形はどれか。ここで,ダイオードの順電圧は0Vであるとする。

正解と解説

正解は”ア”

入力装置の上側がプラス、下側がマイナスのとき、電流は下図のように流れていきます。ちなみに、電流はプラスからマイナスの方向に流れていきます。
ダイオードの向きに注目すると、ダイオードの上から下に電流は流れないと分かるので、電流は出力装置を流れるんだなと分かります。

この時、出力装置の電圧はどうなっているでしょうか。
入力装置の時点では電圧がプラスで、接地している点では電圧が0になります。
よって、出力装置の段階で電圧はプラスで、プラスの電圧は検知可能であると分かります。

入力装置の上側がマイナス、下側がプラスのとき、電流は下図のように流れます。
ここではダイオードに電流が流れ、出力装置には電流は流れません。ダイオードを通る方が近道ですからね。

以上のことから、

  • 入力装置の上側がプラス、下側がマイナスのとき:出力装置でプラスの電圧が検知できる
  • 入力装置の上側がマイナス、下側がプラスのとき:出力装置に電流は流れない

と分かるので、プラスの電圧だけが検知できているアが正解になります。

 

令和4年度秋期問21

応用情報技術者
午前試験 
令和4年度秋期問21

次の電子部品のうち,整流作用をもつ素子はどれか。

ア コイル    イ コンデンサ    ウ ダイオード    エ 抵抗器

正解と解説

正解は”ウ”

ダイオードは整流作用を持ちます。