この記事では、新卒2年目で中堅IT企業から大IT企業に転職した私が、転職面接での自己PRの攻略法について解説します。
簡単に自己紹介
- 25歳で化学系の大学院を卒業したが、研究職に進みたくなくて、従業員数約300人規模の中堅IT系企業に就職。
- もっと給料が欲しい・市場価値を高めたいという理由から社会人2年目の時に転職活動を開始。ちょうど社会人3年目になるタイミングで従業員数約1000人規模の大IT系企業に転職。
この記事を読むと、こんな自己PRが作れます!
まず、私の自己PRを紹介します。私の自己PRを見て、読む価値がある記事かどうか判断してください。SIerから社内SEに転職することを想定して書いています。
私の強みは顧客に納得感を持ってもらえる提案力です。
顧客へ提案する場面では、顧客のニーズと工数感を照らし合わせながら複数の対応案を提示し、顧客が納得して選択できる議論の進め方を意識していました。
具体的なエピソードを一つ紹介します。
システム保守業務で、顧客から「販売計画の立案をシステムで算出したい」という要望を受けたことがあります。ただし頂いた要望をすべてを盛り込むと工数やコストが大きく膨らむ懸念がありました。
そこで私は、限られたリソースの中で、顧客のニーズをできるだけ満たしつつ、合意を得られる提案を行う必要があると判断しました。
顧客の要望を細分化し、優先度を整理しました。その上で、
・全ての要望を満たすが工数が大きい案
・重要な要望に絞り、工数を抑える案
といった複数のパターンを準備し、それぞれのメリット・デメリットを説明しました。
結果として、顧客は納得感を持って選択することができ、スムーズに合意形成が進みました。さらに「比較しやすく、理解しやすかった」と高い評価をいただきました。
私は、社内SEでも「利用部門が納得感を持って長期的に使えるシステムを構築すること」が重要だと考えています。この経験を活かし、業務部門と開発部門の橋渡し役として、納得感のある解決策を共に作り上げていきたいと思います。
この自己PRには私の工夫がふんだんに盛り込まれています。どんな工夫をしてるんだろう?と少しでも気になった方は、是非、この記事を最後までご覧下さい!
面接官が知りたいことはなにか
自己PRで面接官が知りたいことは1つだけです。
あなたが入社後、私たちの会社で活躍できるかどうか
ここが凄く大切。自己PRを聞かれたら当然「過去」の経験や学びから得た自分自身の強みを話します。しかし、面接官に伝えないといけないのは、入社後、私は活躍できます!という「未来」のイメージなんです。
逆に言えば、過去にどれだけ素晴らしい経験を積んでいたとしても、入社後、その力は活かせそうに無いなと思われたら、不採用となってしまいます。プログラマーの採用面接で、一生懸命、営業の能力をプレゼンしても意味が無いんです。
自己PRで伝えるべきは「自分が持っている素晴らしい・誇らしい能力」ではなく、「自分が持っている、入社後に活かせる能力」なんですね。
自己PRを準備しよう
企業が求める能力は何か?を考える
「自分が持っている、入社後に活かせる能力」を話せと言われても、正直、何を話せばいいのか迷ってしまいますよね。企業が求める能力をどうやって考えれば良いか解説します。
業務を5W1Hに分解してみる
まずは今の仕事を5W1Hに分解してみましょう。あなたの仕事は、どんなサービスを、誰に、なぜ、いつ、どこで、どうやって提供していますか?こんな感じで分解してみましょう。
今の仕事
What(どんなサービスを):需給調整が出来るシステムを
Who(誰に):製造業を中心とした大手メーカーの営業部門や調達部門に
Why(なぜ):在庫量を適正化したり、売上目標を達成するため
When(いつ):長期間
Where(どこで):システムを導入した会社で
How(どうやって):案件リーダーとして定期的に顧客と会話して課題を発見し、システム改善を提案する。
今の仕事を分解して整理したら、転職先の仕事も同じように分解してみましょう。求人票や企業HPから推測して構いません。転職先の職業について検索してみるのもアリですね。
転職先の仕事(社内SEを想定)
What(どんなサービスを):社内の業務システム(会計、人事、販売管理、生産管理など)
Who(誰に):同じ会社で働く社員(営業、経理、製造など部署を問わず)に
Why(なぜ):社内業務を効率化し、コストを下げるため
When(いつ):長期間
Where(どこで):自社オフィスで
How(どうやって):社員の業務ヒアリングを行い、課題を分析して解決策を提案する。ITツールやシステムを導入し、マニュアル化・教育を行う。障害発生時はトラブルシューティングを行い復旧対応する。
両者を整理できたら、共通点を見つけます。この共通点がそのまま自己PRの材料になります。
例えば社内SEの仕事は「システムを導入して終わり」ではなく、長期的な業務効率化の実現がゴールです。私自身もこれまで、顧客と長期的な信頼関係を築くために、システム導入後も「課題は解決したか?」「新しい課題は発生していないか?」と継続的に対話し、効果検証や改善提案を行ってきました。
この経験は、社内SEに必要な「長期的な改善サイクルを回す力」に直結しています。つまり、When(長期性)とHow(改善提案のプロセス) が共通点であり、自己PRとして活かせるのです。
転職エージェントに聞いてみる
転職エージェントに、応募する企業がどういう経験・能力を持った人を求めているか聞くのも有効な手段でしょう。エージェントは企業から直接情報を仕入れていることがあるので、どういう風にアピールすれば有効か知ってることも多いです。
エピソードを思い出す
自己PRで話すべき経験やスキルが分かったらエピソードを準備しましょう。
エピソードは考え+行動+結果+学びを話せるように深堀する
どんな考えで、どういう行動を実行し、どういう結果に繋がって、どういう学びを得たのか。考え+行動+結果+学びの4点が話せるように準備しましょう。自己PRを聞かれて全て答える必要はありませんが、深掘りして整理しておくことで、面接で突っ込まれても慌てずに対応できます。
考えが伴わない行動はアピールになりません。「何も考えてなかったけど、とりあえずやってみたら成功しました」だと、偶々成功したんじゃないか?次も同じように成功するのか?と疑問を感じてしまいます。
また、行動が伴わない考えはアピールになりません。考えが立派だとしても、行動していなければ、結果は出せません。この人、考えは立派なんだけど、行動に移せないんだなぁと思われるだけです。
結果のない行動は存在しません。「××に課題を感じたので、〇〇を実施しました。以上です!」だけ言われると、「え、で、その結果どうなったの?」って思っちゃいますよね。結果も話せるようにしましょう。
最後に学びですね。成功でも、失敗でも、なぜそういう結果になったのか?を考えられないと、次の成功には結びつきません。面接官が欲しいのは、今までの経験を次の成功に結び付けることができる人です。なので、学びの深堀りもしたいんですね。
さらに、エピソードを準備するときは、自分が鮮明にイメージできるまで思い出すことが重要です。曖昧な記憶のままでは、面接官に具体的なイメージを伝えることはできません。
面接での話し方
面接で自己PRを話す時は、PREP法とSTAR法の組合せで話しましょう。
大枠はPREPで組み立てます。PREPは「結論→理由→エピソード→入社後の展望」で話を組み立てる方法です。そして、エピソードはSTARで組み立てます。STARは「状況→課題→行動→結論」で話を組み立てる方法です。

エピソードはSTARで整理する
先にSTARを紹介します。エピソードを分かりやすく伝える方法で紹介したいのが「STAR」と呼ばれるフォーマットです。STARはエピソードを状況→課題→行動→結果の流れで話す手法です。例を見てましょう。
Situation(状況):
システム保守業務で、顧客から「販売計画の立案をシステムで算出したい」という要望を受けたことがあります。ただし頂いた要望をすべてを盛り込むと工数やコストが大きく膨らむ懸念がありました。
Task(課題):
限られたリソースの中で、顧客のニーズをできるだけ満たしつつ、合意を得られる提案を行う必要がありました。
Action(行動):
私は顧客の要望を細分化し、優先度を整理しました。その上で、
・全ての要望を満たすが工数が大きい案
・重要な要望に絞り、工数を抑える案
といった複数のパターンを準備し、それぞれのメリット・デメリットを説明しました。
Result(結果):
顧客は自ら納得感を持って選択でき、スムーズな合意形成につながりました。その結果、プロジェクトを円滑に進めることができ、顧客からも「分かりやすく比較できた」と高く評価されました。
どうでしょう?STARの枠にはめるだけで、分かりやすいエピソードになったと思いませんか?そもそもあなたはどういう状況に置かれていて、そこにはどういう課題があったのか。その課題に対してあなたはどう行動し、その結果どうなったのか。このフォーマットを使うだけでエピソードを組み立てやすくなると思います。
大枠はPREPで整理する
自己PRを組み立てる方法で紹介したいのが「PREP」と呼ばれるフォーマットです。PREPは結論→理由→エピソード→展望の流れで話す手法です。まずは例を見てみましょう。
結論:
私の強みは顧客に納得感を持ってもらえる提案力です。
理由:
顧客への提案では、顧客のニーズと工数感を照らし合わせながら複数の対応案を提示し、ユーザが納得して選択できる議論の進め方を意識していました。
エピソード:
STARでエピソードを話す
展望:
社内SEでも業務部門が納得感を持って長期的に使えるシステムを構築する能力が大切だと考えています。この経験を活かし、業務部門と開発部門の橋渡し役として、納得感のある解決策を共に作り上げていけると考えています。
結論であなたの強みを簡潔に述べます。ここで大切なのは、「〇〇力」と雑にまとめるのではなく、「〇〇な状況で発揮する〇〇力」のように、どういう状況で使える力なのか伝わるキャッチフレーズにすること。「私の強みは開発力です」より、「私の強みは顧客の要望をシステムに落とし込める設計力です」とか「私の強みは一つの不具合から全体を見渡し、未然に防ぐ開発力です」の方が、よりイメージが鮮明で、続きが聞きたいキャッチフレーズになってると思いませんか?
理由では、なぜその力が強みと言えるのか理由を述べます。ただ、エピソードで詳細を話すので、理由は簡潔で大丈夫です。「顧客の抽象的な要望とシステムで出来ることを整理しながら、顧客が納得できる形で設計に反映することを意識していました」とか「不具合を発見した際、不具合が発生した背景やシステムの構造を考え、他のプログラムでも同様の事象が発生していないか考えることを意識していました」くらいに簡潔にまとめちゃいましょう。
エピソードはSTARで整理した内容を話します。ちなみに、自己PRで一番大切なのはエピソードです。エピソードこそが説得力のある自己PRの大黒柱です。どれだけ立派な「〇〇力」を掲げても、それに付随するエピソードが緩かったら、根拠不足で落とされます。
展望では〇〇力を入社後にどう活かすつもりなのか話します。5W1Hで見つけた共通点が入社後に活かせる場面になります。
まとめ
自己PRを考えるとき、まず、今までの業務と転職先の業務を5W1Hに分解して、共通点を見つけます。その共通点こそが、あなたがアピールすべき経験・スキルになります。難しければ、何をアピールすれば効果的か、転職エージェントに聞いてみても良いでしょう。
アピールすべき経験・スキルが分かったら、自分がその経験・スキルを持っていることを証明できるエピソードを準備しましょう。エピソードを思い出す時は、考え+行動+結果+学びの4点セットで思い出すことが大切です。
いざ、面接で自己PRを話す際は、PREPとSTARの組合せで話を構築します。自己PRの大枠はPREP、つまり、結論→理由→エピソード→入社後の展望の流れで話します。エピソードはSTAR、つまり、状況→課題→行動→結果の流れで話します。説得力のある自己PRを話すのに一番大切なのはエピソードです。エピソードは特に力を入れましょう。
この記事で自己PRの組み立て方に学びがあればとても嬉しく思います。