この記事ではポート番号についてIT初心者にも分かりやすく解説します。
ポート番号
- ポート番号とはデータを届けるプログラムを識別するための番号。
- ポート番号にはあらかじめ用途が決められたウェルノウンポート番号がある。
基本情報ではポート番号に関する問題が出題されます。是非最後までご覧ください。
通信の仕組み
コンピュータ同士はインターネットを通じて世界中のコンピュータと繋がっています。
コンピュータが他のネットワークのコンピュータに対してデータを送信する時、どのコンピュータに対してデータを送れば良いのか識別するための番号がIPアドレスです。
データがコンピュータに届いたとしても、コンピュータの中には色々なアプリがあります。メールのつもりで送ったデータを動画アプリが受け取ってもどうしようもないですよね。どのアプリケーションにデータを届ければ良いのかを管理するのがポート番号になります。
ポート番号とは?
ポート番号を分かりやすく説明するのによく使われる例えがマンションです。IPアドレスは現実世界で言うと住所、ポート番号は部屋番号になります。
IPアドレス=マンションの住所(建物は特定出来る)
ポート番号=部屋番号
マンションとコンピュータは構造がとても似ています。
マンションには色々な人が住んでいて、郵便物を届けるときは、マンションまで荷物を運んだ後、さらに正しい部屋番号まで荷物を運ぶ必要があります。一方、コンピュータにも色々なプログラムが入っていて、コンピュータにデータが届いた後、さらに正しいプログラムにまでデータが届かないといけません。
この時、データを届けるプログラムを識別するために使われるのがポート番号です。
ウェルノウンポート番号
ポート番号は0番~65535番まで存在します。その中でも0番~1023番まではウェルノウンポート番号と呼ばれ、あらかじめ用途が決められています。
ここでは有名なウェルノウンポート番号だけ紹介します。
SMTP | 25番 |
---|---|
DNS | 53番 |
HTTP | 80番 |
POP | 110番 |
Q.ウェルノウンポート番号を設定する理由は?
A. メールやWebサーバへのアクセス等、よく使われるサービスに対して、あらかじめポート番号を決めておくことで、スムーズに通信することが出来ます。
実際の通信で見るポート番号
実際の通信でどのようにポート番号が活躍するのか見ていきましょう。
パソコンでWebサイトを閲覧しようとするとき、宛先ポート番号を80に指定してWebサーバにWebページを依頼します。Webサーバと通信する時はHTTPを使用し、HTTPのポート番号は80と決められているからですね。
宛先ポート番号を指定すると同時にどこのポート番号にデータを返して欲しいのかを送信元ポート番号として指定します。送信元ポート番号はウェルノウンポート番号以外なら何でもOKです。
Webブラウザを使っている時、複数のサイトをタブで開くこともありますよね。
この時は、
- YouTubeのタブ:送信元ポート番号50000
- IPAのタブ:送信元ポート番号50001
- Xのタブ:送信元ポート番号50002
のように、別で送信元ポート番号を指定します。なので、思った通りのタブにそれぞれのサイトが表示されます。正しい送信元ポート番号にデータが返されるからこそ、それぞれのプログラムでごちゃ混ぜにならずにデータを表示出来ます。
基本情報技術者試験での出題例
令和元年度秋期問34
基本情報技術者
午前試験 令和元年度秋期問34
クライアントAがポート番号8080のHTTPプロキシサーバBを経由してポート番号80のWebサーバCにアクセスしているとき,宛先ポート番号が常に8080になるTCPパケットはどれか。
ア AからBへのHTTP要求及びCからBへのHTTP応答
イ AからBへのHTTP要求だけ
ウ BからAへのHTTP応答だけ
エ BからCへのHTTP要求及びCからBへのHTTP応答
正解は”イ”
プロキシサーバBはポート番号8080で、WebサーバCはポート番号80で受け付けているので、下の画像のような通信になります。
サンプル問題問29、平成31年度春期問34
基本情報技術者
科目A サンプル問題問29、午前試験 平成31年度春期問34
PCとWebサーバがHTTPで通信している。PCからWebサーバ宛てのパケットでは,送信元ポート番号はPC側で割り当てた50001,宛先ポート番号は80であった。WebサーバからPCへの戻りのパケットでのポート番号の組合せはどれか。
正解は”ア”
●PCからWebサーバへの通信
送信元ポート番号:50001
宛先ポート番号 :80
なので、WebサーバからPCへデータを返す時は、その逆になります。
送信元ポート番号:80
宛先ポート番号 :50001
平成30年度春期問44
基本情報技術者
午前試験 平成30年度春期問44
社内ネットワークとインターネットの接続点に,ステートフルインスペクション機能をもたない,静的なパケットフィルタリング型のファイアウォールを設置している。このネットワーク構成において,社内のPCからインターネット上のSMTPサーバに電子メールを送信できるようにするとき,ファイアウォールで通過を許可するTCPパケットのポート番号の組合せはどれか。ここで,SMTP通信には,デフォルトのポート番号を使うものとする。
正解は”ウ”
SMTPはポート番号25番を使用します。
ウを見てみると、宛先がSMTPサーバの時に宛先ポート番号が25番、送信元がSMTPサーバの時に送信元ポート番号が25番になっているので正しいです。
ちなみに、1024番未満のポート番号はウェルノウンポート番号と呼ばれ、SMTPのような特定のプロトコルが使うポート番号となっています。なので、データを送信する際は1024番以上のポート番号を使用します。
平成29年度春期問42
基本情報技術者
午前試験 平成29年度春期問42
社内ネットワークとインターネットの接続点にパケットフィルタリング型ファイアウォールを設置して,社内ネットワーク上のPCからインターネット上のWebサーバ(ポート番号80) にアクセスできるようにするとき,フィルタリングで許可するルールの適切な組合せはどれか。
正解は”ウ”
●PCからWebサーバへのアクセス
Webサーバはポート番号80で受付をしています。なので、
送信元ポート番号:1024以上(ウェルノウンポート番号以外ならどれでもOK)
宛先ポート番号 :80
●WebサーバからPCへのアクセス
PCへデータを返す時は、元の送信元ポート番号にアクセスします。なので、
送信元ポート番号:80
宛先ポート番号 :1024以上(PCからWebサーバへのアクセスで指定した送信元ポート番号)
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