この記事ではMTBFとMTTRについてIT初心者にも分かりやすく解説します。
MTBFとMTTR
- MTBFとはシステムが動き始めてから故障するまでの平均の時間。
- MTTRとはシステム復旧に必要な時間の平均値。
応用情報ではMTBFとMTTRに関する問題が出題されます。是非最後までご覧ください。
MTBFの説明
MTBFとは、平均故障間隔という意味で、稼働開始してから故障するまでの時間の平均を表します。MTBFが長いほど、良いシステムだと言えます。MTBFはMean Time Between Failureの略で、Mean Timeは「平均時間」、Betweenは「~の間」、Failureは「故障」という意味があります。
MTBFの計算式
下のような稼働状況のシステムのMTBFを考えてみます。
稼働時間の合計=300時間+290時間+310時間=900時間で稼働回数は3回なので、
MTBF=900時間÷3回=300時間となります。
MTBFを向上するために
MTBFを向上させるには、システムの故障頻度を少なくする必要があります。
例えば、予防保全を行えばMTBFが向上します。予防保全とは、部品が破損していなくても一定期間使用した部品の交換を行い、あらかじめ故障を防ぐことです。
MTTRの説明
MTTRとは、平均復旧時間という意味で、故障してから復旧するまでの時間の平均を表します。MTTRが短いほど、良いシステムだと言えます。MTTRはMean Time To Repairの略で、Mean Timeは「平均時間」、To Repairは「修理のために」という意味があります。
MTTRの計算式
下のような稼働状況のシステムのMTTRを考えてみます。
復旧までの時間の合計=12時間+9時間+15時間=36時間で復旧回数は3回なので、
MTTR=36時間÷3回=12時間となります。
MTTRを向上するために
MTTRを向上させるには、故障した際の復旧時間を短くする必要があります。
例えば、エラーログの取得を行えばMTTRが向上します。エラーログを取得すれば、故障した原因が分かるので復旧時間を短くすることが出来ます。
稼働率の計算
稼働率とは、システムを導入してからどれだけ稼働していたかを表す指標です。
稼働率はMTBFとMTTRを使って以下の式で表すことが出来ます。
下のような稼働状況のシステムの稼働率を考えてみます。
このシステムのMTBFは300時間、MTTRは12時間でした。
よって、稼働率=300÷(300+12)=0.96となります。つまり96%の時間は稼働しているということですね。
応用情報技術者試験での出題例
令和5年度秋期問15
応用情報技術者
午前試験 令和5年度秋期問15
アクティブ-スタンバイ構成の2台のサーバから成るシステムがある。各サーバのMTBFは99時間,MTTRは10時間,フェールオーバーに要する時間は2時間であるとき,このシステムの稼働率はおよそ幾らか。ここで,二重に障害は発生しないものとする。
ア 0.82 イ 0.89 ウ 0.91 エ 0.98
正解は”エ”
アクティブ-スタンバイ構成では、現行システムに障害が発生した時、待機系システムに切り替えて稼働を続けます。フェールオーバーに要する時間とは、現行システムから待機系システムに切り替えるために必要な時間です。
よって、システムが稼働している時間はMTBFの99時間、システムが停止している時間はフェールオーバーの2時間となるため、
稼働率=\(\displaystyle \frac{99}{99+2}\)=0.98
で、答えはエです。
令和4年度秋期問14
応用情報技術者
午前試験 令和4年度秋期問14
あるシステムにおいて,MTBFとMTTRがともに1.5倍になったとき,アベイラビリティ(稼働率)は何倍になるか。
ア \(\frac{2}{3}\)
イ 1.5
ウ 2.25
エ 変わらない
正解は”エ”
稼働率は\(\displaystyle \frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)で求めることが出来ます。
MTBFとMTTRが1.5倍になる前の稼働率を稼働率(前)、1.5倍になった後の稼働率を稼働率(後)とすると、
稼働率(前)=\(\displaystyle \frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
稼働率(後)=\(\displaystyle \frac{1.5×MTBF}{1.5×MTBF+1.5×MTTR}\)=\(\displaystyle \frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
となり、稼働率(前)=稼働率(後)で変わりません。
令和4年度春期問14
応用情報技術者
午前試験 令和4年度春期問14
MTBFを長くするよりも,MTTRを短くするのに役立つものはどれか。
ア エラーログ取得機能
イ 記憶装置のビット誤り訂正機能
ウ 命令再試行機能
エ 予防保全
正解は”ア”
MTTRを短くするために復旧の役に立つ機能を選びます。
エラーログを取得すれば、故障したときにエラーの原因がすぐに分かるので復旧時間が短くなります。