応用情報技術者では高頻度で派遣契約と請負契約に関する問題が出題されます。ここでマスターしましょう。
派遣契約と請負契約
派遣契約も請負契約も自社以外のリソースを使うことは同じですが、その内容は全く違います。
応用情報技術者試験で問われる派遣契約と請負契約の特徴は以下3点です。
- 契約の目的
- 業務指示をする人
- 労働者派遣法
契約の目的
派遣契約は「労働者の補充」を、請負契約は「成果物の提出」を目的としています。
派遣契約・・・労働者の補充が目的
請負契約・・・成果物の提出が目的
派遣契約は派遣先会社が依頼した業務を遂行すれば報酬も受け取れますが、
請負契約は依頼された成果物を作成して納品しなければ報酬を受け取れません。
業務指示をする人
派遣契約は「派遣先企業」が、請負契約は「請負会社」が業務指示をします。
派遣契約・・・派遣先企業が業務を指示
請負契約・・・請負会社が業務を指示
派遣契約は派遣先が労働者を補充することが目的なので派遣先が業務指示を行いますが、
請負契約は成果物の納品が目的なので請負会社が業務指示を行います。
労働者派遣法
派遣労働者は正社員に比べて雇用が不安定で立場が弱くなりやすい傾向があります。
そこで派遣労働者を守るために作られたのが労働者派遣法です。
労働者派遣法によって、派遣会社は労働者の
- 給料
- 福利厚生
- 教育機会
を保護することが定められています。
偽装請負と二重派遣
偽装請負、二重派遣は共に違法行為です。
偽装請負
偽装請負とは、請負契約を結んでいるのにも関わらず、発注先が業務指示を行うことです。
二重派遣
二重派遣とは、派遣労働者を受け入れた派遣先が、別の企業にその派遣労働者を派遣することです。
応用情報技術者試験での出題
応用情報技術者試験を突破するのに必要な知識はこれだけです。
契約の目的
・派遣契約:労働者の補充
・請負契約:成果物の提出
業務指示をする人
・派遣契約:派遣先
・請負契約:請負企業
労働者派遣法
派遣労働者を守るための法律。教育機会や福利厚生を得る権利を保護する。
偽装請負
請負契約を結んでいるのに発注先が業務指示を出すこと
二重派遣
派遣労働者を受け入れた派遣先がその労働者を派遣すること
出題例
応用情報技術者 午前試験
令和5年度春期問79
労働者派遣法において、派遣元事業主の講ずべき措置等として定められているものはどれか。
ア 派遣先管理台帳の作成
イ 派遣先責任者の選任
ウ 派遣労働者を指揮命令する者やその他関係者への派遣契約内容の周知
エ 労働者の教育訓練の機会の確保など、福祉の増進
正解は”ウ”
応用情報技術者 午前試験
令和4年度秋期問79
発注者と受注者の間でソフトウェア開発における請負契約を締結した。ただし、発注者の事業所で作業を実施することになっている。この場合、指揮命令権と雇用契約に関して、適切なものはどれか。
ア 指揮命令権は発注者にあり、さらに、発注者の事業所での作業を実施可能にするために、受注者に所属する作業者は、新たな雇用契約を発注者と結ぶ。
イ 指揮命令権は発注者にあり、受注者に所属する作業者は、新たな雇用契約を発注者と結ぶことなく、発注者の事業所で作業を実施する。
ウ 指揮命令権は発注者にないが、発注者の事業所で作業を実施可能にするために、受注者に所属する作業者は、新たな雇用契約を発注者と結ぶ。
エ 指揮命令権は発注者になく、受注者に所属する作業者は、新たな雇用契約を発注者と結ぶことなく、発注者の事業所で作業を実施する。
正解は”エ”
請負契約では労働者は受注者(請負企業)と雇用関係を結んでいるので発注者との間に雇用関係は必要ありません。
応用情報技術者 午前試験
令和4年度春期問79
A社はB社に対して業務システムの設計、開発を委託し、A社とB社は請負契約を結んでいる。作業の実態から、偽装請負とされる事象はどれか。
ア A社の従業員が、B社を作業場所として、A社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っている。
イ A社の従業員が、B社を作業場所として、B社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っている。
ウ B社の従業員が、A社を作業場所として、A社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成している。
エ B社の従業員が、A社を作業場所として、B社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成している。
正解は”ウ”
請負会社の労働者が発注者の指揮命令に従うと偽装請負になります。