●キャズム理論とは
新製品が世に浸透するために超える必要がある溝について説いた理論。
●出題された回(平成29年度春期以降)
令和3年度春期
キャズム理論の説明
キャズム理論とは、新製品が世に浸透するために超える必要がある溝について説いた理論のことです。
新製品を市場に投入した時、最初の段階では一部の顧客にしか認知・購入されず、大多数の消費者に広まるまでに大きな溝が存在します。この溝をキャズムと呼びます。
消費者を5つのグループに分けるイノベータ理論
キャズム理論にはその前提となるイノベータ理論があります。イノベータ理論では、新製品が市場に投入されたとき、その製品を受け入れる速度とタイミングによって顧客を5つに分類します。
イノベーター
イノベーターは新製品が市場に投入されたとき、最も早く興味を示す消費者グループです。イノベーターは革新的な技術や製品に魅力を感じ、早く新製品を手に入れたいと感じます。ごく一部しかいません。
アーリーアダプタ
アーリーアダプタは新製品に対して、イノベーターの次に早く興味を示す消費者グループです。イノベーター同様、革新的な技術や製品に魅力を感じますが、イノベーターより慎重で、新製品が市場に認められているのかや安定して動作しているのか等を確認してから新製品を手に入れます。
アーリーマジョリティ
アーリーマジョリティは新製品に対して慎重で、アーリーアダプタが新製品を購入し、その良さを認識出来てから購入します。アーリーマジョリティは市場の中で最も多いと言われます。テレビで紹介された製品に興味を持って購入する人達です。
レイトマジョリティ
レイトマジョリティは新製品に対して非常に慎重で、アーリーアダプタが新製品を購入した後にようやく購入します。一般的な製品と言われるくらいまで浸透してから初めて製品を購入します。
ラガード
ラガードは新製品に対して抵抗を感じる人達です。ラガードは伝統的な製品や既存製品を好みます。最も新製品の受け入れが遅い消費者グループです。
キャズムはどこにあるのか
キャズムは新製品に対して早い段階で興味を示すアーリーアダプタとある程度慎重なアーリーマジョリティの間に存在します。アーリーマジョリティは消費者グループの中で最もボリュームが多い層なので、キャズムを超えることが新製品導入に際して重要だと言えます。
キャズムを乗り越えた製品の例
キャズムを乗り越えた製品の例としてiPhoneが挙げられます。
iPhoneは2007年にAppleから初めて発売されたスマートフォンです。タッチスクリーンで動き、今までの携帯電話にはない機能を備えたiPhoneは、発売当初、新製品好きのイノベーターやアーリーアダプタから注目されていました。
そんなiPhoneがアーリーマジョリティにも普及するきっかけになったのが、App Storeの導入と価格戦略です。App Storeの導入によって、多くの新しいアプリを手軽にインストール出来るようになり、iPhoneの魅力が多くの消費者に認知されました。また、様々な価格帯のモデルを提供することで多くの人が購入しやすいようにしました。
iPhoneはますます成長していき、一般的な携帯電話として世の中に浸透しました。今ではガラケーを持っている人の方が珍しく感じるくらい、携帯電話の地位を確立しています。
まさに、キャズムを乗り越えて、世に浸透した製品だと言えます。
過去問
応用情報技術者 午前試験
令和3年度春期問69
ジェフリー・A・ムーアはキャズム理論において、利用者の行動様式に大きな変化をもたらすハイテク製品では、イノベータ理論の五つの区分の間に断絶があると主張し、その中でも特に乗り越えるのが困難な深く大きな溝を”キャズム”と呼んでいる。”キャズム”が存在する場所はどれか。
ア イノベータとアーリーアダプタの間
イ アーリーアダプタとアーリーマジョリティの間
ウ アーリーマジョリティとレイトマジョリティの間
エ レイトマジョリティとラガードの間
正解は”イ”
アーリーアダプタとアーリーマジョリティの間にキャズムが存在するので、”イ”が正解です。