この記事では、クロック信号とMIPS、CPIについて、初心者にも分かりやすく、図解付きで丁寧に解説しています!
クロック信号
- コンピュータ内部の装置はクロックと呼ばれる周期的な信号に合わせて動く。
- クロック周波数とは1秒間に繰り返すクロックの数。
- クロック周波数が大きい程、性能が良いコンピュータ。
CPI
- CPIは1命令あたりに必要なクロック数。
MIPS
- MIPSは1秒間に処理できる命令の数で、100万個単位で数える。
クロックは装置の同期を取る信号
コンピュータの中には色々な装置が入っていますが、それらの装置がバラバラに動いてしまうと、コンピュータはちゃんと動作しません。なので、クロックと呼ばれる周期的な信号に合わせて装置を動かします。

1秒間に繰り返すクロックの数をクロック周波数と呼びます。1秒間に6回、クロックを繰り返せば、クロック周波数=6Hzとなります(単位はHzです)。

クロック周波数が大きい程、性能が良いコンピュータと言えます。CPUもクロックに合わせて動くので、クロックの周期が短い方が多くの命令を処理できるんですね。

ちなみに、単位には接頭辞があります。例えば、1000Hz=1KHzとも表現でき、ここで使われるKが単位の接頭辞になります。K(キロ)、M(メガ)、G(ギガ)、T(テラ)はよく出てくるので覚えておきましょう。
1KHz | 10³Hz = 1,000Hz |
---|---|
1MHz | 10⁶Hz = 1,000,000Hz |
1GHz | 10⁹Hz = 1,000,000,000Hz |
1THz | 10¹²Hz = 1,000,000,000,000Hz |
CPIは1命令あたりに必要なクロック数
CPI(Clock cycles Per Instruction)は1命令あたりに必要なクロック数です。

MIPSはコンピュータが1秒間に処理できる命令の数
MIPS(Million Instructions Per Second)とは、コンピュータが1秒間に処理できる命令の数を表した単位で、百万個ずつ数えていきます。
例えば、1秒間に1000万個の命令を処理出来る場合、コンピュータの性能は10MIPSとなります。
クロック周波数と組み合わせて考える
1つの命令を処理するのに4つのクロック信号が必要で、クロック周波数が1GHzの場合、
1秒間に処理できる命令は何個でしょうか?
クロック周波数が1GHzなので、クロック信号は1秒間で10億個出ています。
なので、1秒間で処理できる命令の数は10億÷4=2.5億個=250MIPSとなります。

応用情報技術者試験での出題例
令和7年度春期問8
応用情報技術者
午前試験 令和7年度春期問8
同じ命令セットをもつコンピュータAとBとがある。それぞれのCPUクロック周期,及びあるプログラムを実行したときのCPI(Cycles Per Instruction)は,表のとおりである。そのプログラムを実行したとき,コンピュータAの処理時間は,コンピュータBの処理時間の何倍になるか。

ア \(\displaystyle \frac{1}{32}\) イ \(\displaystyle \frac{1}{2}\) ウ 2 エ 8
正解は”ウ”
100ナノ秒に処理できる命令の数を計算してみましょう。
コンピュータA:クロック周期が1ナノ秒なので、100ナノ秒に発生するクロックは100個です。CPIが4なので、100ナノ秒で処理できる命令の数は100÷4=25個です。
コンピュータB:クロック周期が4ナノ秒なので、100ナノ秒に発生するクロックは25個です。CPIが0.5なので、100ナノ秒で処理できる命令の数は25÷0.5=50個です。
コンピュータBはコンピュータAに比べて2倍処理効率が高いことが分かりますね。よって、答えは2倍です。
令和6年度秋期問15、令和4年度秋期問15
応用情報技術者
午前試験 令和6年度秋期問15、令和4年度秋期問15
あるクライアントサーバシステムにおいて,クライアントから要求された1件の検索を処理するために,サーバで平均100万命令が実行される。1件の検索につき,ネットワーク内で転送されるデータは平均2×10⁵バイトである。このサーバの性能は100MIPSであり,ネットワークの転送速度は8×10⁷ビット/秒である。このシステムにおいて,1秒間に処理できる検索要求は何件か。ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。また,1バイトは8ビットとする。
ア 50 イ 100 ウ 200 エ 400
正解は”ア”
「ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。」と記載があるので、サーバとネットワークの処理能力を考えてみましょう。
サーバの処理能力は100MIPSなので、1秒間で1億個の命令を実行します。1件の検索に対して100万個の命令を実行するので、サーバが1秒間で処理できる命令の数は1億個÷100万個=100件です。
ネットワークの転送速度は8×10⁷ビット/秒なので、平均2×10⁵バイトのデータを1秒間に、8×10⁷ビット÷(2×10⁵バイト×8)=50件処理します。
以上から、サーバの1秒間に100件処理出来るが、ネットワークは50件しか処理出来ないので、1秒間に処理できる検索要求は50件です。

令和5年度春期問8
応用情報技術者
午前試験 令和5年度春期問8
動作周波数1.25GHzのシングルコアCPUが1秒間に10億回の命令を実行するとき,このCPUの平均CPI(Cycles Per Instruction)として,適切なものはどれか。
ア 0.8 イ 1.25 ウ 2.5 エ 10
正解は”イ”
CPIは1命令あたりに必要なクロック数です。動作周波数1.25GHzと言うことは、1秒間に1,250,000,000個のクロックが発生します。1秒間に10億回の命令を実行するので、1,250,000,000個÷1,000,000,000=1.25が答えになります。