●コンティンジェンシ計画とは
不測の事態が起きた時のために、事前に決めておく実行計画。
●出題された回(平成29年度春期以降)
令和4年度春期/令和4年度秋期
コンティンジェンシ計画の説明
コンティンジェンシ計画とは、不測の事態が起きた時のために、事前に決めておく実行計画です。コンティンジェンシには「不測の事態」という意味があります。
事前に計画を立てておくことで、いざ、本当に不測の事態が起きた時、素早く対処することが出来ます。
コンティンジェンシ計画を立てる時は、どのような不測の事態に、どう備えるのかを明確にする必要があります。
コンティンジェンシ計画策定の手順
コンティンジェンシ計画は以下のような手順で策定します。
- リスクの特定
潜在的なリスクを明確にして、どのリスクに対してコンティンジェンシ計画を策定すべきか選択します。全てのリスクに対して計画を立てようとすると、それだけコストが掛かってしまうので、優先順位を定めてリスクを選定します。 - リスクに対する対策を決める
選択したリスクに対して、適切なコンティンジェンシ計画を検討します。コンティンジェンシ計画を策定する際はコスト、効果、実施可能性等も考慮する必要があります。 - リソースの確保
コンティンジェンシ計画を策定しても、いざという時のリソース(設備や予算等)が無ければ無意味になってしまうので、あらかじめリソースを確保しておき、不測の事態には迅速に対応できるようにする必要があります。 - チームメンバへの共有
組織内の人間にコンティンジェンシ計画を共有して、全員がいざという時にどのように行動するべきかを把握します。また、必要に応じてトレーニングも行います。 - 担当者の決定
不測の事態が生じたとき、誰が何を担当するのか、あらかじめ決めておく必要があります。そうすることで、混乱を必要最小限に留めることが出来ます。
コンティンジェンシ計画の例:ANA
ここではコンティンジェンシ計画の例としてANAで策定されているものを挙げます。
ANAでは、「長時間にわたりお客様を機内でお待たせする場合の対策」を事前に作成しています。
【想定される不測の事態】
航空機が米国空港に到着し、航空機内で降りることの出来ない状態のまま、長時間お客様を待たせる状態
【上記事態への対応策】
・2時間以上待たせる場合は飲食物の提供
・医療行為が必要なお客様への対応やトイレの使用など必要なサービスの提供
・30分以上待たせる場合はお客様に状況説明を行う
・降機が可能な場合はお客様に案内する
過去問
応用情報技術者 午前試験
令和4年度秋期問65
組込み機器のハードウェアの製造を外部に委託する場合のコンティンジェンシープランの記述として,適切なものはどれか。
ア 実績のある外注先の利用によって,リスクの発生確率を低減する。
イ 製造品質が担保されていることを確認できるように委託先と契約する。
ウ 複数の会社の見積りを比較検討して,委託先を選定する。
エ 部品調達のリスクが顕在化したときに備えて,対処するための計画を策定する。
正解は”エ”
応用情報技術者 午前試験
令和4年度春期問54
プロジェクトのコンティンジェンシ計画において決定することとして,適切なものはどれか。
ア あらかじめ定義された,ある条件のときにだけ実行する対応策
イ 活動リストの活動ごとに必要な資源
ウ プロジェクトに適用する品質の要求事項及び規格
エ プロジェクトのステークホルダの情報及びコミュニケーションのニーズ
正解は”ア”
あらかじめ決められた事象が発生された時にだけ実行するリスク対応策がコンティンジェンシ計画なので”ア”が正解です。