●パテントプールとは
複数の特許権所有者が、それぞれの特許権を持ち寄って一つの組織で管理運用する仕組み。
●出題された回(平成29年度春期以降)
令和2年度秋期/平成30年度秋期
パテントプールの説明
パテントプールとは、複数の特許権所有者が、それぞれの特許権を持ち寄って一つの組織で管理運用する仕組みのことです。
パテントプールとはパテント(特許)のプール(貯水池)という意味です。
パテントプールのメリット
技術が普及しやすい
パテントプールでは特許を共有してライセンスを供与するので、個々でライセンスを購入するより遥かに楽に様々な技術にアクセスが出来ます。これによって新しいイノベーションが生まれやすくなります。
ライセンス料の管理が簡単になる
特許を持つ複数の企業が集まってパテントプールに参加しているので、パテントプールに対してライセンス料を支払うだけで複数の技術にアクセス出来ます。
特許収益の最大化
パテントプールに参加することで、幅広い市場や製品に技術が使われるようになるので、特許収益を最大化することが出来ます。
パテントプールの例
3GPP(3rd Generation Partnership Project)
3GPPは携帯電話通信技術の標準化と発展に関連する団体です。3GPPは、通信技術の第3世代(3G)以降の通信技術を標準化するために設立されました。
携帯電話の開発に通信技術の導入は欠かせません。一言で通信技術と言っても様々なものがあります。例えば、4Gや5G等のネットワーク通信、音声通話を行う通信、テレビの映すのに必要な通信等です。3GPPは携帯電話に必要な通信技術の特許を一括で管理しています。
3GPPにライセンスを申請すれば以下の通信技術にアクセスすることが出来ます。
LTE
LTEはいわゆる4Gの通信技術です。LTEの普及により高速なデータ通信が実現しました。
5G
5Gは超高速の通信技術です。
VoLTE
VoLTEはLTEネットワーク上で音声通話を実現する技術です。
eMBMS
eMBMSはLTEネットワーク上でライブストリーミングやテレビ放送に使われる技術です。
過去問
応用情報技術者 午前試験
令和2年度秋期問70、平成30年度秋期問70
MPEG-4などに存在するパテントプールの説明として、適切なものはどれか。
ア 国際機関及び標準化団体による公的な標準ではなく、市場の実勢によって事実上の標準とみなされるようになった規格及び製品
イ 著作権表示を保持することによって、ソフトウェアの使用、複製、改変、及び再頒布が認められる仕組み
ウ 特許料が無償でライセンスされている技術
エ 複数の企業が自社の特許権をもち寄り特許権を一括して管理する仕組み
正解は”エ”
複数の企業が所有する特許権を一括で管理・運用するのがパテントプールなので、”エ”が正解です。