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【応用情報技術者】SL理論とは何か

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●SL理論とは
部下の状態に合わせてリーダーの行動は変える必要があるという理論。

出題された回(平成29年度春期以降)
令和3年度秋期/令和3年度春期

SL理論の説明

SL理論とは、部下の状態に合わせてリーダーの行動は変える必要があるという理論です。

SL理論は、状況や環境の変化に応じて最適なアプローチを採るべきであるというコンティンジェンシー理論をリーダーシップの側面で深堀りした考え方です。

漠然と理想のリーダーシップ論を語るのではなく、部下の状態によって採用するべきリーダーシップの姿を提示することで、組織の運営がしやすくなります。

SL理論では部下の成熟度に応じて4つのリーダーシップ像が提示されています。

部下の成熟度

部下の成熟度は技術力とやる気によって4つのタイプに分けられます。

①技術力もやる気も無い

成熟度が最も低い部下が①に分類されます。そもそも何をするべきか分かっていないような新入社員や未経験中途者が当てはまります。

②技術力は無いがやる気はある

①より少し成熟度が高い部下が②に分類されます。上司から仕事を与えられればある程度自分で作業を進めることが出来ます。徐々に仕事を覚えてきて、積極的に学びたいと感じている部下です。

③技術力はあるがやる気は無い

②より少し成熟度が高い部方③に分類されます。技術力はあるので最低限の指示で仕事を進めることが出来ます。ある程度のことなら判断が出来ますが、それでもリーダーの指示無しでは不安に感じる部下です。

④技術力もやる気もある

技術力があるので高い成果を出すことが出来て、また何をすべきかの判断も出来るので、楽しんで業務を遂行出来ます。

SL理論で提示される4つのリーダーシップ

SL理論では、リーダーは指示的行動と援助的行動の2軸で部下と接することを提案します。

指示的行動とは、具体的な業務の進め方について指示を与えることです。また、部下の業務が滞りなく進んでいるか監督し、問題があれば適宜指示します。

援助的行動とは、部下との信頼関係を深めるための行動です。部下の成果を評価したり、今後のキャリアビジョンについてコミュニケーションを取ったりします。

部下の成熟度と指示的行動と援助的行動の2軸を組み合わせて4つのリーダーシップ像を提案します。

教示型リーダーシップ

主に技術力もやる気も無い成熟度①の部下を対象としたリーダーシップで、指示的行動をメインに取り、援助的行動はあまり重要視しません。

成熟度①の部下は、とりあえず作業を遂行することで精一杯になるので、どのように業務を進めていけば良いのかを丁寧に教えてあげることが最も重要になります。

教示型リーダーシップでは、部下の状況を把握し、その都度、丁寧に指示を与えることが大切です。

説得型リーダーシップ

主に技術力は無いがやる気はある成熟度②の部下を対象としたリーダーシップで、指示的行動と援助的行動の両方が求められます。

成熟度②の部下は、ある程度のことなら自分でも考えれるようになっているので、業務指示だけではなく、業務の背景や目的なども伝えて工夫させてみることで、意欲や興味を持たせることが大切になります。

参加型リーダーシップ

主に技術力はあるがやる気は無い成熟度③の部下を対象としたリーダーシップで、援助的行動が重要で、指示的行動はあまり重要視しません。

成熟度③の部下は、業務を遂行する力は持っているので、自ら意思決定をさせることが大切になります。組織の目的や問題点を伝えることで、それらの課題を自分で解決に導くよう取り組んでくれるようにモチベーションを向上させることが大切です。

委任型リーダーシップ

主に技術力もやる気もある成熟度④の部下を対象としたリーダーシップで、指示的行動も援助的行動もあまり必要としません。

成熟度④の部下は、自身の業務や組織の課題について熟知しており、また、自ら解決に導く力も持っているので、あまり干渉せずに見守ることでモチベーションを低下させないことが大切になります。

過去問

応用情報技術者 午前試験
令和3年度秋期問74

リーダシップ論のうち、ハーシイ&ブランチャードが提唱するSL理論の特徴はどれか。

ア 優れたリーダシップを発揮する、リーダ個人がもつ性格、知性、外観などの個人的資質の分析に焦点を当てている。

イ リーダシップのスタイルについて、目標達成能力と集団維持能力の二つの次元に焦点を当てている。

ウ リーダシップの有効性は、部下の成熟(自律性)の度合いという状況要因に依存するとしている。

エ リーダシップの有効性は、リーダがもつパーソナリティと、リーダがどれだけ統制力や影響力を行使できるかという状況要因に依存するとしている。

正解と解説

正解は”ウ”
部下の成熟度によってリーダシップの有効性が変わると考えるのがSL理論なので、”ウ”が正解です。

応用情報技術者 午前試験
令和3年度春期問75

ハーシィ及びブランチャードが提唱したSL理論の説明はどれか。

ア 開放の窓、秘密の窓、未知の窓、盲点の窓の四つの窓を用いて、自己理解と対人関係の良否を説明した理論

イ 教示的、説得的、参加的、委任的の四つに、部下の成熟度レベルによって、リーダシップスタイルを分類した理論

ウ 共同化、表出化、連結化、内面化の四つのプロセスによって、個人と組織に新たな知識が創造されるとした理論

エ 生理的、安全、所属と愛情、承認と自尊、自己実現といった五つの段階で欲求が発達するとされる理論

正解と解説

正解は”イ”
部下の成熟度によって教示的、説得的、参加的、委任的の四つにリーダシップスタイルを分類するのがSL理論なので、”イ”が正解です。