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【基本情報】伝送時間・回線速度・回線利用率の計算方法を解説!

お茶ん太
お茶ん太

この記事では、伝送時間・回線速度・データ量の計算方法について、初心者にも分かりやすく図解付きで丁寧に解説しています!

伝送時間・回線速度・データ量の計算方法

  • 伝送時間・回線速度・データ量
  • 回線速度 = データ量 ÷ 伝送時間
  • データ量 = 伝送時間 × 回線速度
  • データを送受信するとき、データに制御情報を追加するため、実際送ることが出来るデータ量は理論値よりも少なくなる。これを考慮するのが伝送効率。
  • 回線速度(実際)=回線速度(理論値)×伝送効率
  • 回線利用率(%)=実際に送受信しているデータ量÷送受信可能なデータ量×100

伝送時間の計算方法

ネットワークの伝送時間に関する問題は次の式で求めることが出来ます
伝送時間はデータを伝送するのに掛かる時間、データ量は送るデータの量、回線速度は1秒間に伝送できるデータの量を表します。

伝送時間・回線速度・データ量
回線速度 = データ量 ÷ 伝送時間
データ量 = 伝送時間 × 回線速度

分かりにくいので荷物を運ぶトラックを考えてみましょう。伝送時間は荷物を運ぶのに必要な時間、データ量はトラックで運びたい荷物の量、回線速度は1日で送れる荷物の量です。

200個の荷物を1日に10個の荷物を運べるトラックで運べば、必要な日数が20日だと分かります。これが、「伝送時間 = データ量 ÷ 回線速度」です。
200個の荷物を20日で運ぶとしたら、1日に10個の荷物を運ぶトラックで運んだんだなと分かります。これが、「回線速度 = データ量 ÷ 伝送時間」です。
20日掛けて1日に10個の荷物を運べるトラックで荷物を運び続けたら、合計200個の荷物を運んだんだなと分かります。これが、「データ量 = 伝送時間 × 回線速度」です。

伝送効率

伝送効率とは、理論上の回線速度に対して実際に出せる速度の割合です
伝送効率を考慮する場合、回線速度は次の式で表せます。

回線速度(実際)=回線速度(理論値)×伝送効率

2tトラックで本当に2tの荷物を運べるかと言われると、段ボールに入れる分、かさばるし、積み込み方が下手だと満杯入れることは出来ないですよね。データも同じで通信するために必要な制御情報(宛先IPアドレスなど)を付けないといけなかったりします。なので、伝送効率を考慮する必要があるんですね。

例えば、理論上の回線速度が100Mビット/秒で伝送効率が70%の場合、実際の回線速度=100Mビット/秒×0.7=70Mビット/秒となります。

回線利用率

回線利用率とは、送受信可能なデータ量に対して実際送受信しているデータ量のことです

回線利用率(%)=実際に送受信しているデータ量÷送受信可能なデータ量×100

例えば、回線速度が20Mビット/秒の回線に対して、1秒間に5Mバイトのデータしか送受信していなければ、回線利用率は25%になります。

単位の接頭語

単位には大きい桁や小さい桁を表すために接頭語を付けることが出来ます。mmやkmのmやkは身近な接頭語ですね。

基本情報でよく出てくる接頭語を紹介します。

m 1mビット=10⁻³ビット
M 1Mビット=10ビット
G 1Gビット=10ビット

基本情報、出るところだけまとめ!

伝送時間・回線速度・データ量の計算方法

伝送時間 = データ量 ÷ 回線速度

回線速度 = データ量 ÷ 伝送時間

データ量 = 伝送時間 × 回線速度

回線速度(実際)=回線速度(理論値)×伝送効率

回線利用率(%)=実際に送受信しているデータ量÷送受信可能なデータ量×100

基本情報技術者試験での出題例

令和元年度秋期問30

基本情報技術者
午前試験 
令和元年度秋期問30

10Mビット/秒の回線で接続された端末間で,平均1Mバイトのファイルを,10秒ごとに転送するときの回線利用率は何%か。ここで,ファイル転送時には,転送量の20%が制御情報として付加されるものとし,1Mビット=10⁶ビットとする。

ア 1.2
ウ 8.0

イ 6.4
エ 9.6

正解と解説

正解は”エ”

●実際に送受信しているデータ量
10秒毎に1Mバイトのファイルを転送し、ファイル転送時には転送量の20%の制御情報が付与されます。なので、1秒間で実際に送受信するデータ量は0.1Mバイトのファイルに0.02Mバイトの制御情報を付与した0.12Mバイトになります。1バイト=8ビットなので、0.12Mバイト=0.96Mビットになります。

●送受信可能なデータ量
10Mビット/秒の回線で接続されているので、1秒間で送受信可能なデータ量は10Mビットになります。

●回線利用率
回線利用率
=実際に送受信しているデータ量÷送受信可能なデータ量×100
=0.96Mビット÷10Mビット×100=9.6%となります。

サンプル問題問26、平成30年度秋期問31

基本情報技術者
科目A サンプル問題問26、午前試験
平成30年度秋期問31

1.5Mビット/秒の伝送路を用いて12Mバイトのデータを転送するために必要な伝送時間は何秒か。ここで,伝送路の伝送効率を50%とする。

ア 16
ウ 64

イ 32
エ 128

正解と解説

正解は”エ”

●実際に送受信しているデータ量
実際に送受信しているデータ量は12Mバイトです。1バイト=8ビットなので、12Mバイト=96Mビットになります。

●通信速度
伝送効率を考慮した実質の通信速度は1.5Mビット/秒×\(\frac{1}{2}\)=0.75Mビット/秒となります。

●伝送時間
伝送時間
=実際に送受信しているデータ量÷送受信可能なデータ量
=96Mビット÷0.75Mビット/秒=128秒となります。

平成30年度春期問31

基本情報技術者
午前試験 
平成30年度春期問31

10Mバイトのデータを100,000ビット/秒の回線を使って転送するとき,転送時間は何秒か。ここで,回線の伝送効率を50%とし,1Mバイト=10⁶バイトとする。

ア 200
ウ 800

イ 400
エ 1,600

正解と解説

正解は”エ”

●実際に送受信しているデータ量
実際に送受信しているデータ量は10Mバイトです。1バイト=8ビットなので、10Mバイト=80Mビットになります。

●通信速度
伝送効率を考慮した実質の通信速度は100,000ビット/秒×\(\frac{1}{2}\)=50,000Mビット/秒となります。

●伝送時間
伝送時間
=実際に送受信しているデータ量÷送受信可能なデータ量
=80Mビット÷50,000ビット/秒
=80,000,000ビット÷50,000ビット/秒=1,600秒となります

平成29年度秋期問31

基本情報技術者
午前試験 
平成29年度秋期問31

符号化速度が192kビット/秒の音声データ2.4Mバイトを,通信速度が128kビット/秒のネットワークを用いてダウンロードしながら途切れることなく再生するためには,再生開始前のデータのバッファリング時間として最低何秒間が必要か。

ア 50
ウ 150

イ 100
エ 250

正解と解説

正解は”ア”

音声データは2.4Mバイトです。1バイト=8ビットなので、2.4Mバイト=19.2Mビットになります。

●音声データを再生するのに必要な時間
符号化とはアナログデータをディジタルデータに変換することです。符号化速度が192kビット/秒ということは、1秒分の音声データを変換した時に192kビットのデータ量が必要であるということです。

今回19.2Mビットの音声データをディジタルデータに変換するので、音声データを再生するのに必要な時間は19.2Mビット÷192kビット/秒=19,200,000÷192,000=100秒です。

●音声データを通信するのに必要な時間
音声データを通信するのに必要な時間は19.2Mビット÷128kビット/秒=19,200,000÷128,000=150秒です。

音声データを再生するのに必要な時間が100秒で、通信するのに必要な時間が150秒なので、再生開始前にあらかじめ50秒分の音声データをダウンロードしておく必要があります。

平成29年度春期問30

基本情報技術者
午前試験 
平成29年度春期問30

本社と工場との間を専用線で接続してデータを伝送するシステムがある。このシステムでは2,000バイト/件の伝票データを2件ずつまとめ,それに400バイトのヘッダ情報を付加して送っている。伝票データは,1時間に平均100,000件発生している。回線速度を1Mビット/秒としたとき,回線利用率はおよそ何%か。

ア 6.1
ウ 49

イ 44
エ 53

正解と解説

正解は”ウ”

●実際に送受信しているデータ量
1時間に送信する伝票データは2,000バイト/件×100,000件=200,000,000バイトとなります。また、ヘッダ情報は伝票データ2件に対して1つ付加します。よってヘッダ情報は100,000件÷2×400バイト=20,000,000バイトとなります。

よって実際に送受信しているデータは伝票データとヘッダ情報の合計なので220,000,000バイトとなります。1バイト=8ビットなので、220,000,000バイト=1,760,000,000ビットになります。

●送受信可能なデータ量
1Mビット/秒の回線で接続されているので、1時間で送受信可能なデータ量は1Mビット×3,600秒=3,600,000,000ビットになります。

●回線利用率
回線利用率
=実際に送受信しているデータ量÷送受信可能なデータ量×100
=1,760,000,000ビット÷3,600,000,000ビット×100=48.9%となります。